東京高等裁判所 昭和25年(う)3290号 判決
よつて、考察するのに、記録によれば、栃木県陸上小運送運搬商業協同組合真岡支部においては、昭和二十二年末頃以来同組合の運営資金に困窮し、当時同支部各町村出張所長であつた被告人等は同支部主事補小松賢十郞等右組合幹部と共に同二十三年一月頃栃木県真岡町大字荒町千百二十番地の右支部事務所(小松賢十郞方)に相会し、同支部管内組合員に配給すべく同支部に一括交付される所謂労務加配米の正常な一般配給を停止して、その配給価格(精米一俵金八百八十八円六十銭乃至千五百九十六円、麦一俵金六百三十五円乃至千百五十五円)より多額の価格(精米一俵四千円麦一俵二千五百円)で希望者のみに譲渡し、もつてその差額を各運営資金に充当することを決議し、被告人等は孰れもこれに基き、自ら希望者となつて自家用にすると共に希望者あるときは譲受価格で転売する目的で、前記支部事務所において前示小松賢十郞から原判示各日時に右決議した金額を支払つて買受けた原判示数量の米麦を原判示の如くそれぞれ輪送したものであることが明白である。果して然らば、右輸送した米麦が元来食糧配給公団から末端の消費者たる労務者に配給さるべき所謂労務加配米として右組合の真岡支部に移動されたものであつたとしても、その後に於ける右組合支部から右各町村出張所への輸送は右米麦を当該正常な労務者に配給するの目的に出でたるにあらずして、右の如き不当な動機、目的に出でたものである以上既に労務加配米の輸送という法的性格を喪失し、その他に特別なる法定の除外事由の存在を認めえざる本件に於ては、斯かる輸送は法律上許されないものと解するを相当とする。従つて、被告人等の原判示輸送にかかる米麦が労務加配米であるからその輸送は法律上犯罪を構成しないとする所論は採用し難い。されば、原判決はその挙示する証拠により右と同一趣旨の事実を認定したものであることが窺えるから被告人等の原判示輸送の所為につき、食糧管理法第九条に違背するものとして食糧管理法第三十一条を適用処断したことは正当である。
論旨はすべて理由がない。
(註 本件は量刑不当により破棄自判)